消費者保護のための自費出版営業・契約ガイドライン

消費者保護のための自費出版営業・契約ガイドライン

特定非営利活動(NPO)法人リタイアメント情報センター
自費出版部会
2008年1月16日

 このガイドラインは、自費出版事業を行う出版社が自費出版作品を書店で流通させることを付加価値サービスの一つとして消費者と契約する場合に、消費者が安心・安全で、目的にかなった自費出版サービスを受けられるように、消費者保護の理念に基づいた出版社の事業活動規範として「特定非営利活動(NPO)法人リタイアメント情報センター・自費出版部会」が作成し、提唱するものである。

 このガイドラインは消費者トラブルの実態に即して作成されるものであり、トラブルの多様化や業界環境の変化に応じて、随時改定されるものとする。
 このガイドラインに賛同し、自費出版事業を行う出版社はNPO法人リタイアメント情報センター・自費出版部会が行う事業実態調査に協力し、所定の情報開示を行ったうえで、所定の手続きによってNPO法人リタイアメント情報センターにガイドライン賛同事業者(仮)として登録することができる。

 同センターでは賛同事業者について、会報誌、ホームページ等によって告知し、消費者センター等行政機関に通知する。

※以下、本文中に出てくる「消費者」「顧客」「著者」は呼称が異なるだけで同じ存在である。

1.宣伝、勧誘、営業行為について

(1)原稿募集の広告・宣伝・営業活動の際に、自費出版であることを明確にすること。
(2)口頭または書面によって書店等で顧客の著作物が売れることを、安易に期待させるような営業活動を行わないこと。
(3)書店流通が取次会社を通じたものである場合、口頭または書面によって安易に有名書店に並ぶことを期待させるような営業活動は行わないこと。
(4)書店に直接配本できるように、書店と出版社との間に個別契約が存在する場合は、配本可能な書店数および書店名、書店における陳列の方法、陳列可能な期間を書面で明らかにすること。
(5)流通にはISBNコードの取得と、書店に配本されるために取次との取引コードが必要だが、仮にそれらを取得していても、例えば極端に薄く本としての体裁すら満足に整わないような本は、書店流通はできないことを説明すること。
(6)「永久に絶版にしない」「永久に売り続ける」等、通常の出版経営の原則を逸脱し、実体が伴わないことを付加価値サービスであるかのように提示し、契約者を惑わすような勧誘を行わないこと。
(7)出版した本を広告する場合は有料か、無料(出版社のサービス)であるかを明確にし、広告の種類を明示すること。

2.コンテストについて

(1)未発表原稿による新人発掘を目的としたコンテストを行う場合、選考過程を明確にすること。また、1次審査合格、2次審査合格など、不必要に応募者の期待を煽った上で、落選者に対して出版費用を負担させるような営業を行わないこと。
(2)過去の受賞作品のうち商業出版している場合、その印刷部数、取次の配本実績、増刷の実績について明らかにすること。
(3)落選者に対して自費出版を勧める場合、あらかじめコンテスト募集時にその旨を明示しておくこと。
(4)「埋もれさせるには惜しい作品」等、落選した応募者の心理を不必要に煽るような勧誘行為は行わないこと。
(5)コンテストに応募しただけで、または選考の対象になったことで「コンテストを主宰する出版社に出版権等が発生する」などと不透明な理由を付けて、応募者が他社に原稿を送り、交渉する権利を阻害してはならない。

3.契約書について

(1)営業説明の際に、顧客に対し、口頭で説明したサービスの内容は全て契約書または付帯資料に記載されているものであること。
(2)顧客に対し、契約時には契約書の内容を読み上げ、営業説明の際に約束したサービスが全て網羅してあることの確認を受けること。契約書に記載してあること以外のサービスは提供されないことを確認、合意のうえで契約すること。
(3)契約書に納期が記入されていること。
(4)契約書に出版した自費出版本の所有権は原則として著者側にあることが記載されていること。
(5)中途解約の違約金等については、解約の理由または契約後の作業の進行状況によって、双方の合意の下に金額を決定し、一律にキャンセル料を要求しないこと。

4.支払方法について

(1)原則として一括前払いは行わないこと。
(2)一括前払い金を受ける場合は、前払い金の保全可能なシステムの明示を行うか、出版社が経営破たんした場合等、契約が履行不能になった場合のリスクを明示したうえで了解を得ること。
(3)クレジット契約の場合も同様な消費者リスクの説明を行うこと。また、クレジットは消費者対応の契約であること。
(4)作業進行に合わせて、最低3回以上に分割した支払いを受けること。
(例えば、業界の慣習として契約時20%、初校40%、納品時40%)
(5)最終残金の支払いは、書籍の完成、納品と同時または後であること。

5、編集、制作について

(1)編集途中で、「作品の完成度を高める」等出版社側の理由付けで、著者の了解を得ず契約以外の追加料金を請求しないこと。
(2)追加料金が発生する場合はその内容を書面で取り交わすこと。
(3)編集途中で出版社側の事情により、著者側の合意を得ないで作業が長期間遅延した場合、著者は解約・返金を求めることができる。

6.納品、流通、保管管理について

(1)印刷会社の印刷証明書を発行すること。
(2)1-(4)の書面がない出版社は、著者から提示を求められた場合、取次会社の配本リストを著者に提示することができる。その場合に発生する費用については著者に対して請求することができる。
(3)著者に情報開示を求められた場合、出版社は速やかに著作物の保管場所、管理状況を公開すること。

7.消費者に不利益な情報の告知について

このガイドライン賛同事業者が自費出版契約を行う場合、前もって予測される消費者の不利益になる恐れのある事柄について、あらかじめ告知しておくことを原則とする。

8.相談窓口の設置について

(1)ガイドライン賛同事業者は消費者保護の理念のもとに事業活動を行い、消費者トラブルが発生した場合は誠意をもって解決に努力する。
(2)ガイドライン賛同事業者は自社で消費者相談窓口を設置するか、NPO法人リタイアメント情報センターに相談窓口業務を委託し、情報公開と消費者からの苦情・相談に対応する。

9.NPO法人リタイアメント情報センターによる情報提供について

(1)NPO法人リタイアメント情報センターは「自費出版トラブル相談室」を通じて、自費出版に関する苦情・相談に対応する。
(2)類似の苦情・相談の多いガイドライン賛同事業者に対しては改善のための助言・サポートを行う。ただし、改善が見られない事業者は登録を抹消し、トラブル内容を公表して消費者に注意するよう情報提供を行う。
(3)ガイドライン非賛同事業者の場合、寄せられた苦情・相談内容について当該事業者に情報提供し、事業内容について情報公開を求めると同時に、ガイドラインへの賛同・登録とトラブルの早期解決への協力を求める。
(4)非賛同事業者の協力が得られず、かつ当該事業者への苦情・相談が増加傾向にある場合は詳しい実態調査を行ったうえで、会報誌やホームページ等NPO法人リタイアメント情報センターの広報媒体を通じて警鐘を鳴らし、マスコミや全国の消費者センター等に情報提供を行う。